冷えているとどんな症状が起こる?長瀬先生にインタビュー!
「温活」「冷えとり」というと、漢方のイメージが強く、中医学に興味を持っている方もいるかと思います。
今回は、口コミからの来院が絶えず、患者さんからの信頼も厚い〈漢方専門外来 吉祥寺中医クリニック〉の長瀬眞彦先生に、中医学から見た「冷え」と「冷えとり」についてお話を伺いました。
中医学の道に進むことになったきっかけはなんですか?
西洋医学で研修医をやっていたときに、内科研修を終えて、放射線科にいったのですが、西洋医学だけでは難しい局面もあるな、と思ったんです。
もちろん、昔に比べて薬や技術はあがっているのですが、治せない病気もまだこれだけあるんだ、と。それで、東洋医学の方に目を向けはじめました。
大学生のころから、漢方医療に興味はあったんですよね。遠藤周作という作家が好きだったのですが、彼がけっこう東洋医学について書いていて、おもしろいなと思って読んではいました。
ただ、日本の漢方のやり方で、ぜんぜん効かないのも見てきたので、どうしたらよいものかわからなかったのも事実です。
あるとき、日比谷の谷クリニックの谷美智士先生が書かれた『東洋医学と西洋医学』という本をたまたま目にしまして。
そうしたら、中医学だと漢方薬の見方もぜんぜん違うし、「こんなに違うんだ!」ということが書いてあったんです。
それで、谷先生に手紙を出したらセミナーに行くことになり、そこで勉強を始めました。そうして1年くらいしたときに、当時の副院長がお辞めになるということで「来ないか」と言われて。
机の上で勉強を始めたのが97年くらいで、谷クリニックに行ったのが99年くらいでした。
興味を持って勉強を始めてから2年で、影響を受けた先生の元にいけることになってすごくラッキーだったと思います。
一般の方から高名な方まで広く診察している、とても有名な先生でしたので。その中で、「こんなに違うんだ!」と。
そこからもうずっと(中医学の道に)います。とはいっても、もちろん、西洋医学にも良いところがありますし、救急とか手術、感染症の治療などには絶対必要です。なので、それぞれの良いところを生かせればとは思っています。
東洋医学も西洋医学もできる医者がいる。それは、日本のすごく良いところだと思っています。
対立していても仕方ないって思いますし、まわりの先生方もそうですが「治す医療が良いよね」っていうスタンスです。
特に、ここ10年くらいで若い人が漢方に興味を持つようになってきているので、(対立しない空気に)すごく変わってきたと思いますね。
「冷えている基準」とはどんなことですか?
温活、冷えとりというと、漢方が効くイメージが高く、みんな興味を持っていると思うのですが、中医学から見て、「体温○度以下」のように、「冷え」ているとされる基準は実はないんです。
自覚的に「冷えているか」「冷えていないか」というところです。
「冷え」による具体的な体調不良とは?
まずは手足やからだが冷たいという自覚があるかですね。
あとは、女性ですと生理不順、不妊なんかもそうですね。そういった人は、冷えがあるかどうかを確認して、(冷えていた場合は)目を向けないと絶対によくはなりません。
冷えている状態が当たり前だと思っている人が多いんですよね。慣れてしまっていて、さらに人と比べようがなかったりしますので。
こちらから見ると明らかに問題でも、本人にとっては当たり前になってしまっているんです。
知らず知らずのうちに、冷えが疲労や精神疾患の一因になっていることもあります。
冷えのチェックできる方法とは?
まず、自分が苦痛かどうか、ですよね。
「冬になると本当に冷たくて厳しい」とか、「クーラーがすごく苦手」とか、あとは(環境や飲食で)冷えると悪化する症状があるかどうかですね。
たとえば、生理痛が悪化する、下痢をするとか。「寒い」と感じたときに具合が悪くなるようであれば、それは絶対に対処したほうがよいと思います。
あ、あと「靴下履かないと眠れない」とかもですね。
布団に入ってもいつまでも足が冷たいまま、というのも典型的な冷えですね。
まさに無自覚! なんとなく冷え性だとは思っていながらも、それが「当たり前」になっていました……。
靴下を履くことが対策だと思っていましたが、違うのですね。一体どうすればよいのでしょうか?
後編は、女性疾患にも繋がりやすい「冷え」の構造と、「冷え」を取る方法について、お伺いします。